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2010年10月24日 (日)

「アーティストとファン」について思うこと。(3)

シリーズ(3)です。書くことがこんなにあって、自分に驚いてます(笑)。

アーティストは「モテ」に慣れています(笑)。まあ、当然ですね。かなりのマイナーなミュージシャンでも、数人だったとしてもファンがいたりしますしね。普通にサラリーマンとかやってる人で、常に「あなたが好き」、「あなたのファンです」と言ってくれる異性がたくさんいる人っては、本当の真のモテ男で、どこにでもいるワケじゃないと思います。でも、音楽とかモデルとか、人前に出ることをやってる人たちは、「好き」と言ってくれる人がいなかったら先に進めないこと(仕事)なので、好きと言ってくれる人がいるから僕は大丈夫だ!と、自分を見てくれる人の数に安心したり不安になったりするんですよね。

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ファンは、好きなアーティストがブレイクして急激に大きな会場へとステップアップしていく時、遠くなっていく淋しさを感じることがありますよね。どんどん多くの人に評価されるアーティストを見ながら、この人のファンでよかった、ずっと見続けてきて良かった、と誇らしく思えるファンは本当に幸せだと思います。一緒に成長してきたことを実感できたり、同じ時間、同じ空間で一緒に感動を分かち合えたり、そういう素敵な瞬間を共有できるファンは幸せです。アーティストとファン、スタッフなど、全ての人の想いが1つに重なった時、後に伝説と言われるライブが誕生するのですから。

一方で、音楽の方向性や衣装が変化することで、「以前の方が良かった」と思ったり、インタビューでの発言の雰囲気が変わってしまい、悲しくなったりすることもあるでしょう。そういう時、ガッカリしてファンを離れるか? それでも応援し続けるか? 

「もうあなたのファンをやめます」、「もうライブに足を運ぶのはやめます」とアーティストに言って離れる人もいます。そういうレターを手にして読んだアーティストがこんな風に言っていたことがあります。

「なんでわざわざ言ってくるんだろう」、「嫌いになったなら仕方ない」。

私が見てきた中では、離れないでくれ!みたいに考えるアーティストは少なかったな。自分のファンが離れてしまうことは淋しいけど、それでも常に今やっていることを見て欲しいし、今やってることを応援して欲しい、とアーティストは思ってるから。

とはいえ、私もかつて、変化していくアーティストの方針に付いていけず、「あれ?なんかもう私の好きなアーティストじゃないかも!?」と、ふと気づいて、ライブに行くのも、そのアーティストを応援するのも辞めたことがあります。離れるという気持の中には、「本当は大好きだったけど、今の変わってしまった姿は応援できない・・・」と、長い葛藤の後のものすごく残念な気持ちとかの行き着いた結果なんだけど、ファンの行動の裏にある気持ちの葛藤までもアーティストサイドは読み取ることはあまりなく、「離れた」という事実しか見てないことも多いんですよね。常に前を見て進んで行くということはそういうことだし。だから、離れたファンのことは仕方ないとして、今の自分を好きでいてくれるファンがいれば大丈夫、と一生懸命前を向こうとする傾向があると思います。

たとえ数年後、ファンが激減して、華やかで大きな会場を満杯にしていた頃が過去に栄光になってしまっても、或いは究極の選択がその後の道を大きく切り開いて、さらなる栄光を手にしたとしても、その岐路に立っていた時期には、本当の正解の道がどこへ伸びているのかなんて、誰もわからないのが人生。ローリスク・ハイリターンのウマイ話なんてないから、エンタメ業界で常にトップを走っているアーティスト達は、何かを犠牲にしながら、欲しいモノを手に入れるために必死に努力をしている。

結果が1つの正解だとして、それは売れたら勝ちなのか?・・・って、これもわからない。目に見えて得れるものと、心を満たしてくれるものは、また別だったりするから。どんなに売れても、孤独感を埋めれない人もいるし、満足出来ない人もいる。答えはいつも出ない。

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「人気」というバケモノみたいな不確かなものの上に成り立っているエンタメの世界。目に見える確実な結果は、売上げ枚数とチャートや、ライブでの動員やチケットが何分で売れた、とか。その結果を支えているのがファンであることは間違いないんだけど、次第に周囲への感謝を忘れてしまって、勘違いしてしまうアーティストもたまにいるよね。でも、最近はそういうアーティストってものすごく少ないと思います。ROCKを地で行くいく生き方みたいなのは、日本ではなかなか成立しないよね。

80年代とかそのもっと前とか・・・アーティストには武勇伝がいろいろあった。インタビューで態度が悪かったとか、インタビュアーとケンカしたとか、スタッフを何時間も待たせたとか、あげく酒臭いまま登場とか、ドタキャンしたとか、宿泊先のホテルの部屋を酔ってめちゃくちゃにしたとか、打上げで大暴れしたとか、、、、、今ではオモシロ昔話みたいなことも音楽ライターをやってる頃にもちょいちょい耳にしたり目にしたけど、今そんな話をしようものなら、「今はそんな人いないよ~」、「そういう時代に憧れますよ」と、逆にミュージシャンに言われてしまうくらい(笑)、みんな行儀がいいというかチャンとしている。挨拶もちゃんとするし、インタビューもちゃんと受ける。あはは、そんなの当たり前のことなんだけどね。だからそう、もう今は態度が悪いことがカッコいい時代じゃないから。むしろ、キチッとした人がステージ上で弾けるギャップの方が、断然魅力的だったりするでしょ。

アーティストの中には、自分が売れなかった原因は「プロモートにお金かけてくれないから」、「タイアップとか取ってきてくれないから」と他人のせいにしてしまう残念な人もいるけど、そう考えてしまう根本の部分は理解できないこともない。うまく説明できないかもしれないけど、「自分は『出会えなかった』んだ」と思ってる人って、エンタメ業界じゃなくてもたくさんいると思います。自分を理解してくれる上司や、自分の得意な部分を見つけてくれる仲間、自分の特別な才能を教えてくれる友達・・・そういう人に出会いたい、って誰もが思っているでしょ。

多くのアーティストも同じで、今自分がいる場所よりも、まだ知らない高い場所へとひっぱり上げてくれる人、大きなチャンスを持ってきてくれる人を待っているから。自分の才能を高く評価してくれて、リスペクトしてくれて、ミラクルを運んできてくれる運命的な出会いを待ってる。その運命的な出会いが、まだ見ぬ奇跡を起こしてくれることを夢みてる。

そしてそうしたファンタジーとは真逆に、実は自分自身をものすごく冷めてジャッジしている部分も持ち合わせていたりする。今自分が置かれている状況や自分の才能の限界とか自分の旬とか。きっと、気持が休まらないだろうなぁ。

ある時、仕事で出会ったアーティストがこう言いました。

「で、貴方は僕にどんなことを持ってきてくれるの?」

(つづく・・・かも)

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コメント

きよりさん、連コメ申し訳ありません。

武勇伝といったら真っ先に浮かぶのが泉谷しげるさん!!(笑)


「で、貴方は僕にどんなことを持ってきてくれるの?」

って言われて、どう返事をなさったんですか~?
でも、その人は人間の付き合いを損得でしか考えていない?

投稿: Elle | 2011年1月20日 (木) 12:49

>Elleさん

Elleさんからの質問の答えを、(3)-②としてテキストアップしましたので、ぜひ読んでみてください。

投稿: kiyori ♪ | 2011年1月31日 (月) 01:17

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