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2010年10月23日 (土)

「アーティストとファン」について思うこと。

《アーティスト(ミュージシャン、俳優など全て)と、そのファン》の関係や距離感って、ホント難しいなぁと思います。

近いような遠いような、だけど大切な信頼関係で成り立ってる《アーティストとファン》。

応援してくれる大切な存在だけど、時々付き合い方が難しいこともある関係。ずっと前からそんなことはわかっていながら、普段は特に気にすることもないんだけど、アーティストがスキャンダルに見舞われたり、ミュージシャンだったら解散や不仲説が出たり、アーティストサイドにあまり良くない情報が出た時など、ファンの気持ちはザワザワして、そういうザワザワッとした不安感みたいな空気がいろいろ波及して、アーティスト批判に繋がることもありますよね。

またその逆に、アーティストが病気やケガをしたとか、心細くなっている時、ファンからの熱い声援が彼らを勇気づけたり、チャートやライブの動員などの数字として現れる結果は、確実にファンのパワーのおかげですよね。

私は仕事柄、アーティストサイドからファンを見ることが多かったので、アーティストサイドの考え方はおおよそ理解できます。でも、ライブなどでアーティストもファンも1つの空間を同時刻に共有する高揚感も幾度となく経験してきたので、ステージ上のアーティストに懸命に声援を送るファンのピュアな気持ちもわかります。

《アーティストとファン》の関係って、お互いに楽しいだけじゃないこともあったりして、最高に良好な関係なんて答えはないので、きっと誰もが手探りで、自分だけの「自分とファンとの付き合い方」を模索しているんじゃないかな。

以前に比べ、ブログやtwitterなど、直接コメントをやりとりできる環境も増えたことで、そういったツールを上手く使うことも必要になってきているし、そこで表現される「むき出しのリアルな声」を受け止めれるのか(お互いにね)、という緊迫したシーンも多くなっていると思います。

機会があったら、《アーティストとファン》について書こうと思いながら、かなりとりとめもなくなりそうな上に、上手くまとめれるのか?ちゃんと伝わるように書けるのか?躊躇しつつ、手をつけずにいました。今回、書いてみようかなと思ったのは、東方神起のメンバーが3人と2人で分かれて活動する状況に陥ってる中で、ファンも分裂してしまうのかな・・・と思いながら、《アーティストとファン》の関係の難しさをあらためて感じていたからです。

それと、《アーティストとファン》の関係を考える時、いつも思い出す、あるアーティストの言葉があるから、です。(それは後ほど)

さて、ここから先、とりとめのない長い文章になってしまうと思うけど。。。

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かつて私がレコード会社に就職して、配属された部署が販促(宣伝)だったんですが、始めのうちに上司に「アーティストは全てうちの大事な商品だから」と念を押されました。商品と言われたものの、新人だし、ちょっと前までは普通の音楽ファンだったし、第一その商品は感情を持った人間なので、「はぁ~大変だなぁ」と思ったものです。特にアーティスト担当者を見てると、アーティストと親しくなれば仕事はやりやすくなるけど、「商品だなんて思えるのかなぁ」と先輩達のことを感心してました。

ところがレコード会社で働き始めると、あっという間に「アーティスト=商品」の感覚が染込みました。ホント不思議なことに、自社アーティストに対して客観視してしまうんです。毎月リリースがあり、そのプライオリティも決定されていくので、音源のリリースがある時のプロモート期間だけアーティストと関わる流れなので、そのアーティストの年間を通した動きを追っていくのではないから、客観的になっていくのだと思います。

これが事務所だったら別です。事務所はアーティストのマネジメントなので、アーティストの年間スケジュール全てに関係してるので、アーティストとの深い部分で繋がって、家族と思ってる場合が多いですよね。

レコード会社に勤めている時に上司から教えてもらった考え方でわかりやすかったのは、

「アーティストにとって事務所は実家、レコード会社は勤め先。

自分の家は帰る場所で、勤め先は条件によって転職もよくある」

というものです。もちろん事務所の移籍もありますが、感覚的に事務所は自分の家に近いので、CDリリース以外のそのアーティスト全てのこと(プライベートまでも)を一緒に考えて話し合っている帰る場所。レコード会社は、例えば2年で3枚とか短い期間の契約で、結果が出なければ更新されずに移籍も当たり前という職場の1つ、という考え方。私が働いていたのがレコード会社だったので、そこで働く人達も、アーティストは仕事仲間という見方で、だから関係性においても、事務所の方がレコード会社よりアーティストに対する信頼も責任も深いと思ってきました。

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先述した、《アーティストとファン》の関係を考える時、いつも思い出す、あるアーティストの言葉。

「ファンからの一言に傷ついて、ファンレターなんかもう読むのをやめようと思ったこともあったけど、

誰より僕を嬉しくさせてくれるのもまた、ファンからもらった言葉なんだよね!」

その言葉が、今でも鮮明に頭の中に残っています。胸の奥をギュッと掴まれました。

レコード会社の社員でありながら、音楽ライターとしても活動していた私に、アーティストの事務所からインタビュー依頼がありました。長期に渡って定期的にインタビューすることになり、ライブにも頻繁に足を運ぶようになりました。

ある時、大きなライブ会場へ向かう時、バスをチャーターして、アーティスト、事務所の人、スタイリスト、ヘアメイク、コーラス担当の人など大勢が乗り込み、私も乗せてもらうことになりました。インタビュー時間がなかなか取れないので、バスでの移動中にやって欲しい、というリクエストでした。

そのアーティストはいつも独りでいることを好み、バスの座席も、いつも隣は空いていました。楽屋でも、戸を閉めて、独りだけでいることが多くて、まわりの関係者はそっと彼を見守って、独りの時間を作ってあげるようにしていました。

アーティストは、今よりもっと先の自分や新しい自分に、自分自身が出会いたいと思ってる人がたくさんいます。「現状維持したい」と言う場合でも、その現状を維持するための影の努力は並大抵ではありません。

そのアーティストが自分の新しい面も見せたい、とトライした新曲を披露した後、「PVも衣装も合ってない」という内容の手紙をいくつか受け取り、ショックを受けている、とマネージャーから聞きました。

ファンレターやメールは、読み始めてみるまで、どんな内容かわからないですからね。常に自分が期待している内容が書かれているワケではないけど、基本は自分のファンから届けられるものなので、どこか安心していたのでしょう。

インタビューをしなくては!と、アーティストの隣の席に移動しました。「今、インタビューいいですか?」と聞くと、彼はファンレターの束を手にして、読んでいました。ファンレターの否定的な内容にショックを受けていると聞いていたので、その彼がファンレターを読んでいて、意外な感じがしました。彼は手紙を読むのをやめて、私の方を向くとちょっとテレくさそうな表情で、言ったのです。

「ファンからの一言に傷ついて、ファンレターなんかもう読むのをやめようと思ったこともあったけど、

誰より僕を嬉しくさせてくれるのもまた、ファンからもらった言葉なんだよね!」

スタッフや音楽ライターや関係者に「今度のアルバム最高だね!」、「今日のライブ良かったよ」と言われることはモチロン嬉しいけど、それよりも、自分のファンが本当に喜んでくれることの方が、自分にとって最高に嬉しい気持にさせることだ、と。

それ以降、場面もアーティストも違うけど、同じような発言を幾度も耳にしました。

ファンのむきだしの言葉は、時としてアーティストを簡単に傷つけ、また簡単に有頂天にさせるんですよね。

(つづく)

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コメント

「アーティスト=商品」という言葉を最初に聞いたときには酷いと思いましたが、こうして業界の方のお話をうかがうと納得です。

ファンとスターとをつなぐファンレターのお話もぐっと来ますね。
去年の春ごろ、ユノとチャンミン両人が別々の機会に、「自分たちが愛されている実感がない」というような切ないことをポロリとこぼして、ファンは泣きました。
こんなことを言わせてしまった、と。
ファンとしても切なかったです。

投稿: Elle | 2011年1月20日 (木) 12:39

>Elleさん

コメントいただいてたのに、返事遅くなっちゃってごめんなさい。

そうなんですよ!
「アーティスト=商品」って聞くと、最初は「えっ!」って不快な感じを受けるでしょ。私もそうでした。

でも、ちょっと違うんですよ。ケーキ屋さんがその店のケーキを愛して大事に売るのと同じで、自分のレコード会社に所属しているアーティストを誰よりも自信を持って、世の中に送り出している商品、という感じなんですよね。

商品と言うから軽く考えてるとかは全くなくて、大事な大事な商品を、求めてくれる人(ファン)の手元にキチンと届けたい、という考えです。

投稿: kiyori ♪ | 2011年1月30日 (日) 14:11

ご返事ありがとうございます。

GQマガジンの金英敏氏のインタビューの言葉に、
「自社で一から十まで作り上げた完成品を、皆さんにお見せします」というやり方をとっています。わが社が誇るプロ集団が総力を挙げて作ったこの曲を聴いてもらいたい。そうやって確信をもって市場に打ち出していくのがわが社のやり方です。

と、ありました。

ユノとちゃんみんの2人は自分たちの成功が5人だけでなされたものじゃないという自覚がしっかりとあったので、事務所を出て行く理由がなかったんだと思いますね~。

投稿: Elle | 2011年2月 6日 (日) 08:41

そうですね。
そして、そのケーキ屋さんには、素材の良さや作り手の技術・愛情とは別に、一から十まで店が作り上げたと主張する利益優先のオーナーがいたという事ですね。
東方神起の5人がアーティストの扱いを受けていたとは思えませんが、商品ではあったようです。

突然お邪魔して失礼しました、ただ、二人の東方神起が残念で仕方ないのです。
三人の作った歌の方に惹かれるのはなぜでしょう。
趣味趣向の違いでしょうか。

投稿: しおん | 2011年2月 7日 (月) 01:11

>しおんさん

> 二人の東方神起が残念で仕方ないのです。

私は全くそう思いませんよ。
アーティストを評価する際の立ち位置が違うので、「好き、嫌い」などの人の好みに関しては、感覚の違い、ということで、平行線だと思います。

3人も高いポテンシャルを内包し、素晴らしい声を持っていると思います。
ホントいい声だと思いますよ!
でも、ごめんなさい。私の個人的な意見ですが、オリジナル曲とセルフプロデュースには共感しかねます。

だけど、そんなことはどうでもいいんですよ。私が何を好きとか、どう言ったとか関係ないんですよ。しおんさんは、しおんさんが惹かれるものに素直に向き合っていけばいいと思います。

投稿: kiyori ♪ | 2011年2月 8日 (火) 00:38

お返事ありがとうございます。
私が、二人の東方神起を残念に思うのは、どうしてもその名前に五人を思ってしまうからなのでしょう。
そんな摺りこみなど全くゼロであれば違う気持ちで聴けたのだろうと思います。それでも少し好みから外れるかもしれませんが^^

これからは、名前にとらわれることなく、心惹かれる曲に素直に耳をかたむけていこうと思っています。と言いつつ東方神起という名前から解放されるには相当な時間がかかりそうです。
ありがとうございました。

投稿: しおん | 2011年2月 8日 (火) 17:34

きよりさん こんばんは♪
きよりさんって、私にとって本当に神的な存在ですね!!!最近の騒動の事についてきよりさんはどうお考えなのかなって思っていたのですが、プロであるきよりさんが直接発言してくれる事は無いだろうと思っていた所、このテキストを紹介してくださいました!!!私の心を見抜いてくれているみたいで、本当にびっくりです。なんだか すっきりしました♪いつもありがとうございます(^_^)/~

投稿: chiko | 2013年3月26日 (火) 00:28

この数日は本当にファンとして胸を痛めていたので記事を読んで 胸のつかえがとれました。この時期に本当にありがとうございます。この記事をたくさんの人が読んでくれることを願います。
私は…リリイベの時に9歳の娘に向けられた彼たちの優しさは本物だと思います。娘がお小遣いを貯めてプレゼントしたものを彼たちは全員覚えててくれました。母から見ても大人の男性が貰っても嬉しくないだろうなぁと思う物でしたのに…勿論…手紙も読んでくれてますよ。

彼等らからの…素敵な歌声、優しさ、ブログやツイでの温かい言葉…前向きな姿勢…どの全ても心を温かくしてくれました。

この試練の時だからこそ…ファンとして彼等を温かく見守っていきたいです。

投稿: レイトモ | 2013年3月26日 (火) 06:04

★from kiyori

2年前に書いたテキストに今こうして2年ぶりにコメントをいただくことが不思議で、でも嬉しいです。
私自身の考えていることが、2年前とそれほど変わってないということでもあるのですが。

> chikoさん

アーティストの気持ちと、応援するファンの気持ちの両方がわかるので、その距離感や最高にいい関係ってどういうんだろう?ってことをよく考えてしまいます。
chikoさん、大丈夫、急いですっきりしなくてもいいんですよ。
白と黒の答えのどちらかを選ぶのではなく、
なんとなく答えが見えないときは、グレーのままでしばらくいてもいいんですよ。そしてあるとき、白か黒か、自分の道が見えたら、そっちに向かっていけばいいと思います。
リラックス&スマイル、を忘れずに~!


> レイトモさん
レイトモさんにもchikoさんと同じことを伝えたいです。
胸のつかえはそんなに簡単にとれないと思うので、無理しなくていいんですよ。自分の感情も、急いで決定しなくても、たまには泳がせておけばいいんですよ。

目に見えるものは1つの真実だけど、目に見えるものが全てではなくて、見る角度によって物事はまったく違って見えるので、
いろいろ考えるとわかんなくなってきちゃうでしょ、

そしたらやっぱり自分の見たものを信じていく、というシンプルな考えでいいと思います。

それはレイトモさんにとっての1つの真実だから。でも、目に見えるものが全てではない、ということも知ってれば、いいんじゃないかな、と思います。

投稿: kiyori ♪ | 2013年3月30日 (土) 13:03

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