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2011年3月 5日 (土)

「アーティストとファン」について思うこと。(14)

プロフェッショナルとチャートについて。

普段なにげなく「プロ意識が足りない」という表現を使っていますが、プロってどういうことなんでしょう?ということについての私見。

NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組(毎週月曜日22時~)には、毎回あらゆるジャンルのプロフェッショナルな仕事人が登場します。番組の最後に「あなたにとってプロとは?」という質問が投げかけられ、その日のゲストが自分の考えるプロとは、を一言で答えるんです。 

どの出演者の言葉にも、なるほどなぁ~と思わされるのだけど、私が今まで見てきた中で強烈にシンパシーを感じたのは「次の依頼が来るってことです」と答えた本の装丁家の言葉です。仕事のエリアが遠からず・・・的な感じだったから、余計そう思ったのかもしれないし、周囲で「仕事がない」と言って、転職したり、結婚したり、田舎に帰ったり、親の跡を継いだりする人もいる中、このザックリとエンタメ業界で生き残って仕事を続けていくことの厳しさを、身を持って感じていたので、「次の依頼がくること」という言葉に、その通り!と思いました。

1つの仕事が次の仕事につながって、明日の仕事があること。その積み重ねの中で、仕事が絶えないこと。少しでも手を抜いたような仕事をしてしまうと、次に声がかからない。

仕事をしているとよく聞く会話なんですが、「今回の仕事、去年は別の方にお願いしていたんですけど、なんかイマイチだったので、今年は違う人にお願いしようと思うんですよね~」みたいな話。チェンジ!ですよ。ダメなものは交代、です。日常茶飯事ですよね。もっといい相手がいたら、いつでもチェンジOKだ、というような考え方にも、不況と言われ始めてからは今さら誰も驚きません。特に近年はコストダウンなど、いろいろ見直しが入る現場が多い中、続けて依頼を受けることは本当に大変なことで、仕事における信頼が絶大でなければ関係は維持できません。

だから「次の依頼があること」ということは、世の中にさらされて、そこで競争して選ばれることでもあって、厳しい今の現実でもあります。そして、次の仕事が成立していくことは、イコール、「依頼された仕事で食べていける」、ということを意味しているのです。

さて、「考え方はいろいろある」と前置きした上で私の意見を述べますが、つまりは、プロであるかどうかは、世間が、周囲が認めることである、と思います。

ここで、明らかに反対の見方もあります。「自分がプロだと思えばプロだ」という考え。この考え方を否定はしません。が、私の考えるプロはそれとは違います。「違います」、と書きながら、いや、違います、と断定するのもまた違うんだよな、とハッキリしない自分もどこかにいます。それくらい、プロとアマチュアの定義って、時代とともにますますボーダレス傾向になっているんじゃないかな。

では、「音楽」。バンドを続けながらバイトで生活している。ファンもいるけど、音楽だけじゃ食べてけない・・・これはアマチュア。メジャーとインディーズの分類は、流通の問題なので、今はもう関係ないとして、インディーズでも音源が発表出来て、オリジナル音源を自主ルートで販売出来て、音楽で食べていける人は、アマチュアではないと思います。音楽を発信する方法もたくさんあり、受け手の趣味も多様化する中で、ミニマムなコミュニティーがたくさん誕生し、それぞれの小さな世界に、それぞれのスターがいたりする。

でも、「プロ意識」という言葉が意味する「プロ」は、またちょっと違ったところにあるような気がするんですよね。

例えば、自分のやりたいことしかやりたくない、という人。自分で作詞作曲して、製作費も全部自分で出してCDを作って、音源はi-TUNEとかで配信して、それらの収益で生活していける人。さっき私が定義した「プロとは?」によれば、この人はプロ、ですよね。スタンスと、その結果、そのアーティストの楽曲にお金を払って買ってくれるオーディエンスがいることで食べていけるならプロです。

だけど、そういう、わかる人だけがわかればいい、みたいな世界の話じゃなくて、確実に自分のファンだけを対象にしたイベントなどのクローズドな話じゃなくて、もっと積極的にメジャーフィールドで勝負しようとしている人、世間の目にさらされて、そこで評価を得ようとしている人が、プロの中でも特に私のリスペクトするスタンスです。

例えば音楽チャート。1位を獲得したとか出来なかったとか、そういうことで一喜一憂しているアーティストや関係者はたくさんいます。かつて、そういうのが馬鹿馬鹿しく感じてた時期もあります。一般音楽ファンは、さほどチャートの動向なんて気にしていないのに、って。

でも、近年、ちょっと別の角度から見ることができるようになったのか、考え方が変化してきました。

私は過去に約50冊くらい本を出版しています。書店に行けば買える本、いわばメジャーフィールド。でも、全国の売上げランキングに入ったことなんて、数回しかありません。それはアーティスト本だったので、そのアーティストが人気があったからです。一度、出身県(長野県)の出版社から、卒業した高校をテーマにエッセイを出版して、それが県内の売上げランク1位になったことがありますが、ローカルな話(笑)。

本を出版する際、この本が全国チャートの上位になりますように!なんて、自分の想像できる範囲の感覚じゃないので、自分の中のリアルじゃないんです。でも、本を出版して書店に本が並ぶ、というところまでは自分の中では普通のリアルです。本を出版した経験のない人から見たら、出版でさえリアルに考えられませんよね。そういうものです。その場所に行って、初めて、その先の景色が見えるから。

この1年間に4冊本を出したけど、全国の売上げランキングとか、王様のブランチで本を紹介されるとか、全く想像出来ないことです。だからこそ、わかってきたんです。うっすら見えてきたというか、感覚として理解出来る雰囲気・・・くらいまでにはなってきたからかもしれません。もう、本を出版するところまでは当たり前だ、その本が売れるかどうかだ、と、見てるずっと先の方に、次の目標が見えてきたからかもしれません。

本でも、音楽でも、ゲームでも、ランキングを争えるようなフィールドで毎回勝負できる人たちにとっては、1位か2位かでそりゃあ一喜一憂するだろうな、と。クローズドで、自分の見える範囲のファンや仲間を相手にしてたら、チャートを制することは出来ません。

世の中に自分の作品をさらして、評価を待ち、認められてこその1位。

とかくクリエイティブな仕事をしている人は、自分のセンスを信じて好きなコトをやって、それをわかってくれる人だけが支持してくれればそれでいい、という考え方の人が多いのですが、クリエイティブな作業をやりながら、それを世の中に投げかけて、認められようと努力すること----それって、すさまじいプライドだな、と理解できるようになったきたこの頃です。自分の才能やセンスを認めてくれるかどうかもわからない一般の人たちに、「これが私の作品です、どうですか?」って問いかけることで、新しい支持者に出会うこともできる反面、辛らつな批評も受け止めなければならないからです。ランキング上位を争うフィールドで自己表現をする勇気は、まだまだ私にはありません。

だからこそ、プロの中のスタンスとして、チャートにもこだわりを持つ、ということは、相当な自信とプライドがあってこそだし、支持者のみのクローズドではなく、より広く認められようと努力するストイックな姿勢にリスペクトせざるを得ません。

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コメント

kiyoriさん おはようございます

今回の記事 ものすごぉ~く共感して 読ませていただきました(って いつも考えさせていただいてます)

プロフェッショナルはその本人に「プロ」と呼ばれるに値するプライドと実力があること…ですよね

知り合いの 有名派遣講師から聞いた話です。年度始めに 担当校からその年の目標を聞き「何か私たちにできることは?」と上層部に言われた時 彼はこう言ったそうです。
「僕たちは このレベルにある生徒を大学入試合格させる請負人です。自分のやり方に自信があるから ここにいます。報酬にみあうだけの仕事をし結果を出す。それだけです。結果が出なかった時の原因は2つ。僕に実力がなかったこと。そして生徒のレベルをあなたたちが誤って認識していたこと。
1年後 僕に対する評価に 浪花節は不要です。」
きゃ~ あんた カッコイイじゃん! って言ってから1年…間もなく結果が出ます。

東方神起がアルバム発表でカムバックしたことに対して kiyoriさんが してくださったコメントを 改めて読み直した朝 でした。

投稿: ゆんず | 2011年3月 6日 (日) 10:09

>ゆんずさん

いつもコメントありがとうございます!

ゆんずさんが書いてくれた派遣講師の話、
私の感想としては「惜しいなぁ~!」です。

東方神起はそんなことも言わず、黙々と、でも努力してきた姿を見せてくれてますよね。しかもランキングの1位を獲得するという限りなくメジャーフィールドの最先端で勝負してきてるでしょ。そういうのが本当にカッコいいんじゃないかなぁ、と。

メジャーシーンにいても、CDをリリースした、ということだけのアーティストもたくさんいるし、メジャーシーンにいることで満足してしまう人もたくさんいます。明確にTOPに照準を置けるくらいのポジションを自覚できるアーティストなんて、一握りだと思うのです。

TOPを狙い、そのポジションを維持していくという自覚を持ちながら、全ての人に向けて作品を発表し、常にオープンで戦っていくことって、並大抵な努力ではないと思います。そのポジションで切磋琢磨しているアーティストを本当にリスペクトします。

私自身も、本を出版したことに満足せず、もっと上を目指さなくては!と真剣に考えます。

投稿: kiyori ♪ | 2011年3月 6日 (日) 12:52

kiyoriさん

お返事 ありがとうございます。
彼の このセリフを聞いた上層部が キョトン あるいは 何を偉そうに みたいな反応をしたそうなので
年数やポジションだけで 周りに物言わせてる情けない上司って こんな風に たくさんいるんだろうな~って

もちろん
私の愛するユノ 東方神起は まさに 不言実行の美学
そして 約束したことに対する誠実な姿

やはり 今日も ユノに溺れてる私です

投稿: ゆんず | 2011年3月 6日 (日) 14:02

「プロとアマチュア」の線引き、そして更に「売れる」ということを
意識する是非・・・それぞれの考え方がありますね。
マニアックなアーティストは、どの分野でもいて、例えばミュージシャン’s ミュージシャン、と呼ばれる人は必ずいて。
そんな人達がひとたび大ヒットをとばしたりすると「大衆に媚を売った」(←古っ!)とか言われて。
私自身も若い時は、自分だけが良さをわかっていたつもりが、大勢の人に受け入れられたのが
つまらなく思ったこともありました。でも、今は常に一線でありながら
きちんと結果も出し続けることの大変さが、どれほどの努力が必要か
・・・想像するだけで、そのプレッシャーに押しつぶされそうです。
何もないところから、作品を生む。それだけでも尊敬するのに、
長年作り続け、それが多くの人から評価される・・・言葉がありません。

投稿: ゆうこ | 2011年3月 6日 (日) 17:30

>ゆうこさん

同感です。

音楽でもファッションでも、尖がっていることをカッコいいとする向きはあるので、わかる人だけがわかればいいという考え方。実際の私自身のやってることも、狭い方を見てるやり方なのかもしれないな、と自分自身を分析しています。

尖がっていつつ、誰からも評価される・・・その両方を納得させることは本当に難しいですからね。

ちょっとブランディングの話になりますが、
東方神起のスゴイのは、「尖がっているけど大衆を相手にしていく」という、難易度の高い、ともすれば相容れないものを融合させることに挑戦しているところです。

大抵の場合、どちらかに寄ってしまうんですよ。

メジャーすぎてカッコ悪いか(スイマセン・・・汗)、尖がってて一部からの熱狂的な支持か。その両方、どちらもスタンスとしてはアリなんですよ。

私が今回彼らをスゴイ!と最初に思ったのは、モード(尖ってる)アプローチなのに、超メジャー(ランキングのTOPを視野に入れている)で、大衆を巻き込むだけのベーシックな部分がしっかり出来ている、というところです。

爆発的に売れても、自分達のstyleがあるということ。そういうのがないと、かつてのゆうこさんや私みたいに(笑)、なんか売れて誰もが支持するようになったらつまらない~、カッコ悪くなった~、なんて思ったりするでしょ(笑)。

その両方を納得させてる点の凄さは、もしかしたらアルバム収録曲の振れ幅の秘密かもしれないですね。

投稿: kiyori ♪ | 2011年3月 6日 (日) 18:30

きよりさんに「同感」してもらえて、嬉しいです♪
10代後半から20代にかけて「尖った」方ばかり向いていたので、
自分で言うのもなんですが、結構自分の「目」には自信があったんです。
その私が、人生初の「ファンクラブ」に入るほどドップリつかってしまったのが、東方神起。
確かに今回のアルバムはジャケ写だけ見てもモードなのに、彼らの
幅広いファン層、みんな頑張ってついていっています!(笑)
「これは一体???」という声は、聞いたことありません!
なんていうか・・・「わかりやすい格好良さ」。
これも簡単なようで難しいのでは?
そして充分作りこまれているから、きよりさん含め「作り手」側からも評価されているんだと思います。
今日、韓国の記事で「SMに集まる曲は6000曲」と書いてあるのを読みました。
東方神起の今回のアルバムの為に用意された曲は、もしかして予想以上に多かったのかもしれませんね。

投稿: ゆうこ | 2011年3月 7日 (月) 00:04

いつも プログ拝見しています。
地震の事も有り 不謹慎かな…と思いましたが、松本きよりさんに少しでも早く東方神起の新曲聴いて頂いて… プロの感想が聞きたくてコメント書いています。

♪聴いて下さいね♪

「これだけは知っておいて(Before U Go) モノローグver.」
http://www.youtube.com/watch?v=K-I0PP0Nknw&feature=player_embedded

本格的なR&B…
聴いた途端 絶句…
いつも私の思うより先にいっていて…
裏切られて(^O^)
2人共最高なんですが(^O^)

きよりさん
大阪のおばちゃんですがきよりさんのプロの感想 ほんと めっちゃ 楽しみにしています。

お身体御自愛下さいね!

投稿: ohidehan | 2011年3月14日 (月) 03:39

すみません 何度も…こちらを先に聴いて下さいね。
アルバム
一曲目note
東方神起として戻ってきた2人
この一年で何バージョンアップしたのでしょうか…(^O^)TVXQ - Before U Go (Monologue Ver.) (+DL LINK)
http://www.youtube.com/watch?v=VtucLRcygik&sns=em
セクシーな2人のセリフ…(@_@)
きよりさん
感想楽しみにしていますね…


投稿: ohidehan | 2011年3月14日 (月) 17:29

>ohidehanさん

テキストアップしました。
難しい曲ですね~。

投稿: kiyori ♪ | 2011年3月16日 (水) 20:45

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